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なぜアニメは「動かさない」ほど動いて見えるのか

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なめらかに動くアニメより、カクッと省略されたアニメの方が「動いて見える」ことがある。逆説だが、これは精神論ではなく技法の話だ。

1秒を何枚で割るか

映画は1秒24コマ。これを毎コマ描けば「1コマ撮り(フルアニメーション)」で、ディズニー全盛期がこれに近い。日本のテレビアニメは多くが「3コマ撮り」、つまり同じ絵を3コマ映すので1秒に8枚。通常の芝居は3コマ、少し速い動きは2コマ、本当に速い一瞬だけ1コマ、と使い分ける。

この「コマ打ち」を意識して見ると、作品のリズムが見えてくる。会話は止め気味で枚数を節約し、見せ場で一気に枚数を増やす。限られた予算と枚数をどこに賭けるか——制約が、逆にメリハリを生んだ。省略は貧しさではなく、編集の判断だ。

動きは線の「外」にある

速い動きを描くとき、関節を丁寧に中割りするとは限らない。むしろ形を引き伸ばした「smear(ブラー)」の1枚や、白黒反転の「インパクトフレーム」を一瞬だけ挟む。残像や閃光が、観る側の脳に運動を補完させる。

つまり「動き」は、きれいに描かれた線の中ではなく、省略と誇張の「外」で起きる。止め絵にカメラを寄せ、引き、流す。背景動画や効果線で空気そのものを動かす。動かさずに動かす技術だ。

見る目の手引き

次に観るとき、一度だけ手を止めて数えてみてほしい。歩く足は何コマで切り替わるか。爆発の瞬間に妙な1枚が割り込んでいないか。どこで枚数を惜しみ、どこで贅沢をしているか。それが見えると、作り手が「ここを見せたい」と決めた瞬間が、画面から立ち上がってくる。

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