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コーヒーの「苦い」と「濃い」は別物 — 味を自分で直す座標

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「濃い」と「苦い」は別の軸

同じ豆なのに、店で飲むと旨くて家だと苦いだけ — その正体はたいてい「濃さ」と「苦さ」の混同にある。コーヒーの味は、実は二つの独立した軸で決まる。ひとつは濃度(TDS)、つまり一杯にどれだけ成分が溶けているか。もうひとつは抽出率、豆の成分のうち何%を引き出したかだ。

濃さは水と豆の比率で動く。苦みや酸味は抽出率で動く。だから「薄いのに苦い」も「濃いのにまろやか」も普通に起きる。多くの人が「苦い=濃い」と感じているが、これは別物だ。ここを分けて考えられると、味の調整が一気に楽になる。

酸っぱい・苦いは引き出しすぎ/足りないのサイン

豆の成分は溶け出す順番が決まっている。まず酸、次に甘み、最後に苦み・渋みが出てくる。つまり抽出が足りないと酸が勝ち、引き出しすぎると苦みと渋みが前に出る。

だから一口飲めば診断できる。とがった酸っぱさ・物足りなさなら「抽出不足(アンダー)」。重い苦さ・舌に残る渋さなら「過抽出(オーバー)」。雑味なくほどよい甘みと丸い酸が出ていれば成功だ。業界では抽出率おおむね18〜22%あたりが旨さの目安とされるが、数値を測るより「酸と苦のどちら側に転んでいるか」を読む方が実戦的だ。

一杯を直す三つのつまみ

直すレバーは主に三つ。挽き目、湯温、時間だ。

酸っぱい(抽出不足)なら、抽出を増やす方向に動かす。豆を細かく挽く、湯温を上げる(90〜95℃)、注ぐ時間を延ばす。逆に苦い(過抽出)なら、粗く挽く、湯温を下げる、時間を縮める。動かすのは一度に一つだけ。同時に二つ変えると、何が効いたか分からなくなる。

濃さが足りない・強すぎるのは別問題で、これは豆と湯の比率で調整する。目安は豆1に対して湯15〜16倍。苦さを薄めようと湯を足すと、濃さは下がるのに過抽出の苦みは残り、結局まずくなる。薄めるのではなく、抽出そのものを浅くするのが正解だ。

味を「好み」で片づけず、二つの軸に分けて読む。それだけで、昨日まで運任せだった一杯が、自分で再現できる一杯に変わる。

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