世界遺産・平泉の夏を巡る。中尊寺ハスと毛越寺・浄土庭園で涼を感じる歴史歩き
平安時代の栄華を今に伝える岩手県平泉町の世界遺産。春の桜や秋の紅葉が有名ですが、夏の平泉には、この時期にしか出会えない特別な美しさと涼やかな静寂が広がっています。その主役となるのが、中尊寺で花開く800年前の眠りから覚めた「中尊寺ハス」と、平安の美意識が息づく毛越寺の「浄土庭園」です。冷涼な風が吹き抜ける大泉が池のほとりを歩き、かつて奥州藤原氏がこの地に描いた「理想郷(極楽浄土)」の夏を五感で体感する、大人の夏旅モデルコースをご提案します。
800年の時を超えて咲く奇跡の「中尊寺ハス」
平泉の夏の幕開けを告げるのが、天台宗東北大本山である中尊寺の境内で見られる「中尊寺ハス」です。
このハスは、昭和25年(1950年)に行われた奥州藤原氏の遺体学術調査の際、四代・藤原泰衡の首桶から発見された種子から開花したものです。長谷川博信博士らの手によって約800年ぶりに発芽・開花に成功し、平成10年(1998年)に「中尊寺ハス」として里帰りしました。
中尊寺ハスは、現在も境内の「讃衡蔵(さんこうぞう)」のほど近くにある池などで大切に育てられており、例年7月中旬から8月中旬にかけて優美なピンク色の花を咲かせます。ハスの花は午前中に開き、午後には閉じてしまうため、涼しい朝のうちに参拝を兼ねて訪れるのが、美しく開いた姿を捉える極意です。
毛越寺の「浄土庭園」で水辺の涼風に包まれる
中尊寺と並んで平泉を代表する寺院である毛越寺には、平安時代に描かれた浄土思想の理想郷を具現化した「浄土庭園」がほぼ完全な状態で残されています。
庭園の中心にあるのが、広さ約3,000坪(約1万平方メートル)にも及ぶ「大泉が池(おおいずみがいけ)」です。池の周囲には、作庭記の流儀で作られた荒磯の風情を表す「出島」や、池に注ぐせせらぎである「遣水(やりみず)」などが配置されています。
夏に訪れると、池の周りを取り囲む青々とした木々が水面に映り込み、目にも鮮やかな緑の世界が広がります。池のまわりには遊歩道が整備されており、水辺からの心地よい涼風を感じながらゆっくりと一周散歩することができます。平安の人々が水辺に託した「祈り」と「涼」の知恵を、ぜひ歩きながら実感してみてください。
夏の平泉を快適に巡るためのポイント
夏の平泉は日差しを遮る場所が少ないエリアもあるため、快適に巡るためには事前の段取りが欠かせません。
- 朝一番の行動が基本: 中尊寺ハスがきれいに開いている午前中に中尊寺を巡り、お昼頃に毛越寺へ移動するスケジュールがおすすめです。
- レンタサイクルを活用する: 平泉駅からは、中尊寺まで約1.5km、毛越寺まで約700mと歩けない距離ではありませんが、夏の暑さの中では自転車移動が快適です。平泉駅前などで借りられるレンタサイクル(電動アシスト付きが便利)をおすすめします。
- 冷たい名物「盛岡冷麺」で涼を補給する: 散策の合間のランチには、岩手のご当地グルメである「盛岡冷麺」や、平泉名物の「もち料理」を冷たい麦茶とともにいただくのが旅の楽しみです。
古の祈りが染み込んだ水辺の涼風に抱かれる特別な休日を過ごしてみてはいかがでしょうか。
お役立ち情報
- 中尊寺 公式サイト
世界遺産である中尊寺の拝観案内やアクセス、ハスの開花情報などが掲載されている天台宗東北大本山の公式サイトです。 - 毛越寺 公式サイト
浄土庭園の見どころや歴史、大泉が池の景観など、毛越寺の魅力を詳しく紹介している公式サイトです。 - 平泉町観光協会 公式サイト
平泉周辺の観光スポット一覧、レンタサイクルの案内、夏のイベント情報などが網羅された日本語の観光ガイドです。
出典: