涼やかな水辺を歩く。清澄庭園で体験する「磯渡り」と初夏の名石巡り
清澄白河のモダンなカフェ街から一歩細道へ入ると、都会の喧騒を忘れさせる豊かな緑と水辺が広がっています。明治期を代表する近代庭園として整備された「清澄庭園」です。大きな泉水(池)を中心としたこの庭園には、全国から集められた「名石」や、水辺を渡る体験ができる「磯渡り」など、五感で自然の涼を感じられる工夫が詰まっています。今回は、のんびりと庭園の美しさを観察するおでかけプランをご提案します。
出典: Jacky. T. R. Chou / Pexels
三菱財閥の創業者が築いた名園の歴史
清澄庭園は、江戸時代の元禄期に大名屋敷の庭園として造られたのが始まりとされています。その後、明治時代の1878年(明治11年)に三菱財閥の創業者である岩崎弥太郎がこの地を買い取り、社員の慰安や貴賓の接待用として整備を進めました。
弥太郎が築いた「深川親睦園」は、荒川の水を引いて大きな池を造り、全国から汽船で集めた巨石や奇石を配した贅沢な回遊式林泉(かいゆうしきりんせん)庭園です。関東大震災の際には避難場所として多くの命を救い、その後、東京市(現在の東京都)に寄贈され、貴重な都立庭園として今に引き継がれています。
水の上を歩く感覚を楽しむ「磯渡り」
この庭園を訪れたら、ぜひ体験したいのが「磯渡り」です。これは池の端に配置された大きな飛び石を、水面すれすれに一歩ずつ歩いていくための工夫です。
足元を見ると、透き通った水の中に泳ぐ鯉が間近に観察でき、まるで池のなかを歩いているかのような心地よいスリルと高揚感を味わえます。少し立ち止まると、水面を渡る風がひんやりと肌をなでていき、都会のなかにいることを忘れてしまうほどの静寂に包まれます。歩幅を合わせて静かに進みながら、水と名石が織りなすミクロな庭園風景を楽しんでみてください。
全国から集まった「名石」のコレクション
清澄庭園は、別名「石の庭園」とも呼ばれるほど、石の配置にこだわって造られています。岩崎家が自社の汽船を用いて日本全国の有名な産地から集めた銘石が、園内のいたる所に配置されています。
伊豆磯石、伊予青石、備中御影石、佐渡の七面石など、どれも独特の質感や形状を持っています。石によって色が異なり、波のような模様が入っていたり、なめらかに削られていたりと、一つとして同じ表情のものはありません。庭園の設計者たちが、どの場所にどの石を置けば最も美しく調和するかを熟考して配置した、マクロな景観のバランスにも注目です。
ベンチから眺める水面の涼と初夏の緑
庭園の池の周囲には、歩き疲れた時に腰を下ろせる木製のベンチがいくつも設置されています。涼しい木陰にあるベンチを見つけたら、ぜひゆっくりと座って、池全体のパノラマを眺めてみてください。
池の対岸に浮かぶ「涼亭」(数寄屋造りの建物)が水面に反射する様子や、水鳥たちが優雅に遊ぶ姿を眺めているだけで、時間が穏やかに流れていきます。初夏のまばゆい緑が水面に映り込み、きらきらと光る波紋を見つめていると、心がしっとりと整っていくのを感じられます。週末にふらりと立ち寄って、ベンチで静かな時間を過ごすための贅沢なおでかけにいかがでしょうか。
お役立ち情報
- 清澄庭園(公園へ行こう!): 開園時間、入園料、ガイドツアーの案内など、最新の開園情報を紹介しています。
- こうとうおでかけ情報局(江東区観光協会): 清澄白河エリアのカフェ情報や、周辺の門前仲町・森下エリアの散策情報が満載です。
- 日本庭園 - Wikipedia: 回遊式庭園の歴史やデザインの解説など、予備知識の習得に最適です。